東海道五拾三次を歩く第12回
東海道五十三次を歩く

・・・茅ケ崎〜小田原

 

 4月29日、5時45分東青梅、6時21分立川、川崎経由で茅ケ崎着。2日前から右前頭痛があり、血圧のせいかと青梅医院の平岡先生に診断を仰いだ。「頚椎の疲労です。首をかしげたり、パソコンを長く続けていませんか。」と言われた。仕事のストレスのせいか?明日歩きに行く旨を告げると、「そのほうがいいでしょう。」とのご託宣に、妻の節子の誕生日だが決行した。
 前回、見つけた茅ケ崎駅前にある安い料金の理容店に入るが、7時45分とまだ早いので準備中で待たされる。12台もある理容室で、理容師は皆若い。8時開業のようで、10分前ごろから、次々と理容師が出勤。身支度を整えると、私が一番乗りでやってもらう。
 マニュアル化されていて、タオルは1枚で済ます、シェービングクリームは自動化されていて刷毛をぐっと押し付けるだけで、すぐ出てくる。時間は全体で30分、8時30分に終了、全く無駄がない。これで1850円、シルバー料金は1500円。客は並んで待っているほどの盛況だ。
 前回の終了地、一里塚信号、金物屋の越後屋の旧道まで戻る。1キロも歩くと鳥居戸橋の中央に南湖の左富士の碑がある。東海道を歩くうちで、富士が左に見えるのは、ここと吉原の宿付近の2箇所だけという。景観は近代的な橋や歩道橋、自動車がバンバン走っているのが見えるのでは、がっかりだ。碑だけではなく、昔の景観を残して欲しい。
 旧相模川橋脚、鎌倉時代まではこの辺りに相模川の橋がかけられていた。右手に鶴峰神社があり、参道には松並木の古木が残ると言うが、通過。亀田堅太郎宅の藤の古木がすごい。直径10mはあるか。9時13分、相模川にかかる馬入橋を渡る。正面に富士山、左手はマリーナ、川沿い上流にもクルーザーが係留されている。9時39分、平塚駅前到着。駅前の繁華街の一角に、お菊塚がある。「番町皿屋敷」のモデルと言われるお菊だ。平塚は七夕祭りで有名で、毎年300万を越える観光客を集める。平塚銀座通りを抜けて、江戸方見付け跡、平塚宿本陣跡など昔日の面影はなし。
 形の良い高麗山を正面に見て、花水橋を渡る。新芽を吹いて、もこもことした雑木の山だ。
「東海道五拾三次の内平塚」に描かれている絵柄そのままだ。高来神社に参拝に入ると、休日のせいかハイキング風の参詣客が多い。
 国道と分かれ、住宅街に入る。サーフボードを車に積み込む裸の青年の姿や天日干しの魚、クラッシックカーを整備するおやじなど、いかにも大磯が近いと思わせる風情だ。旧家から琴の音が聞こえてくる。700mにわたる大磯の松並木、平和なのどかな休日だ。
 10時50分、小島本陣跡すぐ前のそばや・古伊勢屋に入る。キリンビールに天ざるそばをとる。どうも天ぷらがしゃきっとしない。11時30分に店を出る。樹齢400年を越える欅がめだつ森が小田原の崇雪が庵を結んだ鴫立庵(しぎたつあん)だ。京都の落柿舎(らくししゃ)、滋賀の無名(むみょうあん)庵と並ぶ日本三大俳諧道場と言われる。
 大磯プリンスホテル別館、滄浪閣(そうろうかく)旧伊藤博文邸が今も一部中華レストランとして利用されている。一品900円からのメニューが見える。昔はここから大磯の海原が見渡せた。裏手に海岸に回ってみると、ロケーションはすばらしい。意外にも浜は空いていて、釣り人が何人かいるだけだ。5キロの城山公園で、真っ黒に日焼けしたバイクのおじさんと出会う。バイクには、バケツが2個重ねられ、中には「ながみ」と言う3センチの貝が入っている。聞くと、彼は平塚に住む人で午前7時から5時間かかって、先のバケツに半分採ってきた。2キロで2千円で農家か魚屋に売るそうだ。じょうれんと言う器具で、60m先に投げ、引き寄せて貝を中に入れる仕組みだ。「今日は波が荒く、いつもの半分だ。」といってバイクを走らせた。公園内には旧三井財閥の別荘があったが、現在はそれをモチーフにした大磯町郷土資料館が残る。気がつかずに通過してしまったのが残念だ。
 二宮町に入り、吾妻神社への入口にくる。吾妻神社は日本武尊東征の折り、海神の怒りに触れ、妻の弟媛(おとたちばなひめ)が怒りをおさめる為、自ら海に身を投げた。そのとき櫛が流れ着き、櫛を埋めた所が吾妻神社だったと言う。今や縁結びの神様として信仰を集める。国府津駅で帰ろうかと思っていたが、親木西橋の信号で駅を聞くと、1キロも過ぎたと言われ、次の小田原まで頑張ることにした。15時24分、旧川辺本陣跡いま社会福祉法人ゆりかご園の看板が立つ、巨木茂る豪華な門のある敷地だ。連歌橋たもとに「みのや観光センター」の看板が見える。もう営業していないはずだが・・・。もうだめ、もうだめ、と言いながら、小休止を繰り返し小田原市へ入る。前回、昼食を取った小伊勢屋に着いたのが、16時23分、8時間歩いたことになるか。




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