マツノヒデマサの
旧 青 梅 街 道 を 歩 く 3 
裏宿〜沢井 
 
20027月11日記 
 

 2002年8月11日、連日の猛暑で日中の歩きは危険なので、午前五時に車で送ってもらい、前々回歩いた裏宿の七兵衛公園から西へと歩いた。裏宿の大正時代は、馬方と笠屋ばかりだったという。北側の丘陵が迫っているため、石垣の家が多い。JR青梅線の線路はまだ見えない。斉藤自動車の手前を左折し、鋭角に入り道なりに行く。50メートル先を左折、田中陸雄私宅前を迂回し、細い道を行くと突き当たる。さあ、そこをどう行くかと思っていると、「涼しいうちに買い物に行くんだよ」と言うおばあさんに道を教えてもらう。

左折するとじきに多摩川沿いに出る。元禄二年(1678年)の村絵図には、北にある和田乃神社や明白院への長い参道が描かれている。ざざ〜と大量の水が流れる波の音が響く。

 青梅出身の代議士だった津雲国利氏の別荘の一角を造園した「日向和田臨川庭園」に行きつく。柵越しに見える庭園は、手入れが行き届き、しかも多摩川を見下ろすすばらしい景観だ。昭和59年に開園した日本庭園で、梅、桜、つつじ、もみじなどの四季折々の景観が楽しめる。脇を通り抜け、新井光昭氏宅の前をさらに進む。蝉が縞々の白い腹を見せて近くを飛び回る。杉林と竹林の切通しの道の太い根っこの下に、寛保二年(1743年)の舟形光背地蔵が鎮座する。しばらく未踏の雑草の小道を行くと水道取り入れ口の六差路の手前、岩松源士氏宅に出る。氏に話を伺うと、驚きのオンパレードだ。鎌倉時代以前からの由緒ある家柄で、岩松義平24代目ぐらいとか。新田義貞公の部下だった祖先が生き延びてこの日向和田に落ち延びた。屋号を茶堂として知られ、明治時代には御徒町や熊谷にも支店を出していた炭問屋、焼き物の豪商だったという。昔はここに高札が立っていた。「旧青梅街道はこちらの多摩川沿いの道が、かすかに残っているんだが、保存の道をなんとか考えてほしい」と岩松氏。




 原島材木店の裏の通りを650mも行くと日向和田駅に着く。途中の蔵の前に古い地蔵が残る。蝉時雨がいっせいに響く。日はまだ当たらない。さわやかな風に乗って、フルートの音が聞こえてくるので改札口に寄ってみる。楽譜を前に木製のフルートを演奏しているのは、所沢在住の金竹隆氏。へそまんで友人と待ち合わせをしているが、早めに来て迷惑がかからないところで演奏をしているという。青梅に住んだこともあるようで、「奥多摩や山中湖が好きで、フルートを持ってよく来るんですよ。」高く低く響く音色を背に駅を離れる。信号を左折し神代橋を渡ると、吉川英治夫人が経営する和菓子屋紅梅苑がある。

 へそまんの所に昔、万年屋という茶屋が昭和7年頃まであった。セントフローリアン教会の先に「奥多摩釜めし」の大きな釜が看板代わりに置かれる。はす向かいに屋根掛けの横吹地蔵尊が、すぐ石神社、向かいに石版彫りの観世音菩薩像が祠に納められている。


 石神前駅入口信号の先を右折し裏道に入る。すぐT字路右角に地蔵尊立像が立つ。青梅線のガードをくぐり、北西に進むこの通りは海禅寺通りで突き当りが鍵の手になっており、大きな地蔵尊が祀られる。ここを左折すると青梅街道に合流。右折すると瑞龍山海禅寺。海禅寺は奥多摩地方の豪族で三田氏一族の墓がある。三田氏最後の領主綱秀は、北条氏照に攻められ二俣尾の辛垣城で滅ぼされた。青梅街道に海禅寺の江戸初期建立の総門が移築されている。平成7年に解体修理が行われた。室町時代の公家、歌人で三条西実隆や市内谷野真浄寺の住職桑内浄月らの歌を詠んだ桃の里の歌碑もある。ここから150mで二俣尾駅に着く。

 二俣尾橋の手前を迂回して宇佐美食堂に出る。東京都教育委員会発行の歴史の道調査報告書には、裏手を回って北西に進むとあるが、そんな道がなく青梅街道をしばらく歩く。どうも平溝川を北上するとあるから、違うらしい。平溝川を南下して青梅街道に合流。軍畑駅入り口の左は軍畑大橋、じきに花とアンティークレンガ「煉瓦堂朱とんぼ」、1,500円で体験コーナーもある。横手商店の向かい側から青渭通りに入り、「黒地蔵」や「鎧塚の地蔵尊」を過ぎると沢井駅が見える。7時47分、丁度列車が来たので大慌てで、切符を買わずにホームへ駆け込む。ここは無人駅で、自動販売機で切符をとの案内板があったが、この列車を逃すと次は多分30分はないだろうとの判断だ。(2002.08.12 松野 記)



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所沢在住の金竹隆  8




T路路右角に地蔵尊立像 20







瑞龍山海禅寺 25





江戸初期建立の総門 30

江戸初期建立の総門 31






煉瓦堂朱とんぼ 34








日向和田臨川庭園 41






舟形光背地蔵が鎮座 39 









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