マツノヒデマサの
中山道 六十九次を歩く・・・第13回
木曾福島から野尻まで 
200242728日 
 ゴールデンウイークに入り、大渋滞が予想されるため、朝5時に自宅を出発。順調に中央高速道路を走り、塩尻インターで降り国道19号線をひた走る。午前8時30分、JR中央線無人駅の宮ノ越駅前に車を駐車し、8時43分発の列車に乗る。駅ホームから見える線路脇に咲き誇る白、ピンク、朱色の桃の花、山桜、八重桜、山吹があざやか。木曽福島駅に着き、身支度をし、旧道を歩き始める。
 駅すぐ左手の御嶽神社裏を回って坂を下り、左手の一里塚の碑を見て一旦国道461号線に出て、すぐ左折し、また旧道へ。国道19号線に出る手前で、道しるべに沿って雑木林の草深い道を歩く。これぞ旧道歩きの醍醐味。この道を3〜400年前の先人達も歩いたのかと感慨深い。





 元橋手前に八重桜が見られる。元橋の右は王滝・御岳山方面。すぐ左のトンネルをくぐり、
神戸(ごうど)の日のあたる民家の前で、間食を取る。午前5時半に朝食をとったのでもうお腹がぺこぺこ。用意した珈琲、ハム玉子パンで腹ごしらえ。
沓掛馬頭観音・一里塚から木曽川を眺める。木曽の桟はもっと先か。写真を撮っていると岩に左足膝をぶつけ、歩くとすれて痛い。ここの所、犬に足を噛まれたり、足に災難が集中している。10時30分、木曽の(かけはし)、川向こうの一軒宿木曽の桟温泉は新しく新築したようで、昔入浴した頃に比べ、各段によくなった様だ。眼下の流れは深い淵で、穏やかな流れで、エメラルド色。岩肌は寝覚めの床のようだ。

 桟は木曽川に懸けられた橋ではなく、断崖に橋を懸け通路としたもの。15分も歩くと、今は通行禁止となっている吊り橋を過ぎると、「平成木曽路の難所」と呼ばれる十王橋までの危険区域を歩く。大型トラックががんがん通るのに、歩道がない。危ないので、対向車を見ながらの右側車線を身構えながら歩く。上松宿の中心地、八幡宮が左手奥、手前の枝振りの良い黒松が見事。玉林院の山門兼鐘楼、土蔵は1766年11月に建立したもの。あとは明治26年の大火で焼失。境内の4本の黒松も見事。






 11時40分、目覚めの床入口200m東の旧道角に、歌麿の絵に描かれた創業300年の越後屋が昔の風情を残す。今は営業しておらず、新道の角に移転して営業している。話の種に、越後屋で寿命そば、タラの芽天ぷらを賞味する。ビールも飲みたいが、後で辛いのでグッとがまん。玄関上に、「江戸時代の目覚めの床」の絵が展示されている。色彩鮮やかで、本当に江戸時代に描かれたものか疑問。街道沿いの臨川寺の境内を抜けて下りると、浦島伝説で有名な奇岩怪石の名勝、寝覚めの床がある。妻は八重桜の下で、さくらアイスクリームを食べる。桜の葉の味がする。12時20分に店を出る。じきに広重・英泉合作による浮世絵で描かれた木曽八景の一つ、小野の滝に出る。
 雄大な滝だが両側は鉄道の鉄橋が見えるので興ざめだ。現代の高速道路に囲まれた日本橋のようで、日本は何故に自然や歴史遺産を軽視するか、情けない。串ケ下バス停を左折して旧道に入る地図通りに山を登る。途中、突き当たり、左側からくる道が木曽古道の標識があるので、この道が正しいと確信して、どんどん登る。40分も登ってもまだ下らないので、流石に心配。丁度、須原観光案内所の「この先は木曽古道です」との標識に電話番号が記されていたので、問い合わせをした。やはり道を間違えた様だ。19号線まで一気に10分で駆け下りた。

手作りの詳しいガイドと信じていたので、過信は禁物という教訓か。串ケ下バス停を左折と思っていたが、実際はバス停の先を左折だっのだ。バス停の図の位置に原因があった訳だ。無理に下ったことで、その後、向う脛の痛みが数日続いた。立町に大きな吊り橋があり、記念写真を撮る。
14時37分、JR倉本駅に到着。車を駐車してある宮ノ越駅に移動する。大桑村の鹿の湯温泉かもしか山荘を今日の宿に決めていたが、その前に途中、木曽福島駅から車で15分北に入った木曽福島の二本木の湯に入浴した。温泉巡浴999湯目となる。ここは毎分214gの湧出量をもつ薄い茶褐色の含二酸化炭素・カルシウム炭酸水素塩冷鉱泉、昔から湯治湯として神経痛、筋肉痛、関節痛、切り傷、やけど、慢性皮膚病、特にアトピーに良いとされる。

 鹿の湯温泉かもしか山荘は、大桑駅より北の山奥に15分ほど入る。看板があまりなく不安で何度か地元の方に聞きながら、なんとか明るいうちに到着、温泉巡浴1000湯に達し、記念の温泉場となった。詳しくは「異色の温泉宿シリーズ」で近く紹介する予定。

 翌日、列車の時間を女将さんに聞くと、須原駅8時33分発の時間をのがすと2時間次の便がないと分かり、大慌てで出発。須原駅に車を駐車し、前日の終点倉本駅に戻る。
 8時50分倉本駅を出発。古い民家の残る家々に大きい派手な鯉のぼりがたなびく。須原宿はもともとは川に近い所にあったが、洪水で移転し現在の所になった。道幅が広く、豊富な涌き水を利用し、7ヶ所に水場を設け、大木をくり貫いた木舟にお花が活けられ、のどかな風情を演出する。


10時22分、木曽の名刹定勝寺を拝観。山門、本堂、庫裏が桃山時代建立当時のままとか。庭園がすばらしいが、感傷に浸っていると、正面にJRの列車がゴーという音とともに通過して行った。
 木曽の清水寺といわれる岩出観音、天長院前を通過して大桑駅を過ぎる。川沿いを歩くので、前日鱒の放流が行われたらしく、子供達が鱒のつかみ取りを楽しんでいたり、釣りをする家族ずれの姿が目だった。道の駅大桑で昼食をとる。そこから30分も行くと、野尻駅に到着。塩尻方面の列車が14時49分までない。阿寺温泉フォレスパ木曽で入浴したいと思うが、そこまで歩いて4キロほどはあるので、タクシーを呼ぼうとするが相当待たされる。結局、30分ほど仮眠してからタクシーで車を置いてある須原駅まで送ってもらった。
 須原駅前に須原の名産・桜の花漬を販売している「大和屋」が風情を残す佇まいで店を構える。八重桜を塩漬けにしたもので、熱湯を注ぐと花びらがふぁっと開く風雅な道中土産だった。妻も風雅さに誘われて・・。

フォレスパ木曾は、天然温泉とスポーツ・アミューズメントを網羅した総合的な施設。阿寺温泉恋路の湯は、32.4度のナトリウム塩化物炭酸水素塩温泉で、露天風呂をはじめ8種類の機能風呂が完備され、温泉プールもある。効能は神経痛、筋肉痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、慢性消化器病、痔疾、冷え性、切り傷、」火傷等に。

13時30分にそこをでて、塩尻方面に向けて車を走らせるが、お土産を買うことを思い出し、駅の道やくらしの工芸館に立ち寄り、時間がたつのも忘れてしまう。
  (2002.05.05)
 

 
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